2010/08/30

8月30日 天台

『天台(てんだい)』
昭和48年に岡山県の小野田敏男氏が作出したもの。
命名は大分県の庄秀男氏、登録は同氏により平成3年。

小型種ながら、葉幅がひき葉肉が厚く非常に存在感のある品種である。
雅糸竜は緻密で、至芸に至ると表面を覆輪が覆い、気品がある。

外気22−35℃
温室23−36℃
鉢内23−32℃
16時半頃灌水。

2010/08/27

8月27日 折り熨斗、名残り雪

「折熨斗」
 萬年青図譜より
今日は『名残り雪』の検証です。
左は『折熨斗の虎』、右が『名残り雪』
葉姿は全く違います。折熨斗の虎のほうは『白牡丹』によく似ています。

まずは互いの熨斗芸。
『折熨斗の虎』

『名残り雪』

本芸は確かにほとんど同じです。葉元に近づくにつれて葉の縁が内側に折り込みます。

逆鉾芸というものがありますが、逆鉾芸は葉元が鉾の柄のように棒状になっていて、葉の途中から本場が開くので熨斗芸とは異なります。

次は当才の葉姿。
『折熨斗の虎』

『名残り雪』

折熨斗のほうは当才から熨斗芸を現しますが、名残り雪の方は真ん丸として『残雪』の当才にそっくりです。
『残雪』


最後に地合いです。
『折熨斗の虎』
名残り雪』

折熨斗のほうは光沢があり、最初にも書きましたが白牡丹のような滑らかな地合いをしていますが、名残り雪のほうは羅紗地で葉の表面にシカミというか脈があり残雪の地に似ています。

結論は出ませんが、一応こんな違いがありました。
もっとも、萬年青図譜には此の實(実)より奇態の品を生ずるとあるので、折熨斗の虎が本来のものなのかは分かりません。
折熨斗の虎は花芽がきやすいようなので、来年からはセルフで実を蒔いたり交配をしたりしてみようと思います。

名残り雪は熨斗芸以外は残雪に似ていることは確かなようです。

外気22−33℃
温室23−35℃
鉢内23−32℃
鉢内温度というのは楽鉢の鉢内温度の測定結果で、プラ鉢の方は最高、最低温度ともに楽鉢から−1℃のところで推移しています。
17時頃灌水。

2010/08/25

8月25日 翠艶

『翠艶(すいえん)』

昭和35年、愛知県の前田茂弘氏が作出。命名は鈴木菊三郎氏、登録は同氏により昭和62年。

葉先は丸止めで中立ち葉。
葉の縁にビリをうち、平葉に総雅糸竜を現す。跳ね竜、玉竜も見せる羅紗縞甲といったところ。
黄覆輪が深くなると一見してそれと分かり、誰にでも分かりやすい品種である。

外気22−34℃
温室24−34℃
鉢内23−31℃
17時半頃灌水。

当園HPに当才生え実生の販売がupされました。
当園の生えも2本載っていますので、ぜひ夢に挑戦してみてください。
葉姿は違いますが地合いが艶消しで、良く似ています。
鉢上げした時は最初の写真の木のほうが地が少し粗れていて、これは!と思っていたのですが、次の写真の木も繰り出してきた2枚目の葉が柄も落ち着いて、葉肉も増して、中々良い地合いを見せてくれています。

2010/08/22

8月22日 懇話会

山田温泉「松川館」にて長野県支部の「おもと懇話会」が行われました。

床の間には今回のテーマでもあった「美術品」の『太陽』と『光陽』が飾れられました。
作者は矢沢氏。

支部長の挨拶

議題は「美術品作りについて」
項目に沿って
  • 植え方、鉢選びについて(培養時)
 朝明砂のみだと芸が締まると言う人もあるがどうなのか。軽石でも充分に出来るという意見も。長野では昔、多くの人が折衷植えで美術品を作っていたらしい。ぜんまいの根を芯に使う「オスマンダ方式」という植え方もあるらしい。
 
 首周りは苔なのか、硬質赤玉でも問題ないのか。それぞれのメリット、デメリット。硬質赤玉の見た目が気になるという意見に対しては、苔が汚れていた方が見栄えが悪い、昭和初期までは上苔を使用していたという文献は少ないので問題ないのではないかなど。
 
 鉢選びは大きさなどの話よりも楽鉢なのか、プラ鉢なのかという議論に発展。趣味として楽しむということが大事なので楽鉢でやるのが本来の楽しみなのではないか。プラ鉢でも作は問題なくできる。
  • 水やりについて
 1日何回やるか。朝やるのか夕方やるのか、それぞれの時間帯は。灰汁水はやるのか、年にどれくらいか。通年やるという意見もあった。
 なお、3日に一度ほど灌水時に木酢液を混ぜることで消毒を一切やらずに管理出来るようになったという意見もでた。木酢液には殺菌、害虫忌避の効果がある。それ以外にも浸透性が優れていて肥料の吸収効率も良くなるので作がかかりやすいなど。
  • 施肥について
 施肥の適切な時期、回数。置き肥か水肥か。成長期にはチッ素が必要。
 個人的には化学肥料についてどう思っているのかという議論も聞きたかった。実生家の方に個人的にお聞きしたところ、実親には使うが決まり物には使っていないので分からないというお話でした。
  • 採光について
 ここはあまり議論されなかったが、成長期の十分な採光は必須。名作者の宮崎氏は光の具合を見ながら寒冷紗を引いたり引かなかったり、棚の配置も品種ごとに採光の特に必要なものなど考えて並べているという。ご本人曰く他の人には中々真似出来ない。
  • その他(青にえ対策)
 青にえはほとんど出ないという方が数名。灰汁水は効果があるという意見が多く出た。灰汁水は通年やるのが良いという意見もちらほら。
 夏場のチッ素過多は良くない。

こんな感じでした。


最後は皆さんで食事をしながら個々でおもと談義に花を咲かせていました。
私も色々と勉強することができました。

2010/08/20

8月20日 玉堂

『玉堂(ぎょくどう)』

昭和初期に作出されたとされ、神奈川県の相田清喜氏が増殖し、紹介したことから「相田実生」「相田広葉実生」などと呼ばれていた。
昭和41年に完全覆輪の木ができ、埼玉県の牧野博氏が『玉堂』と命名し、昭和58年に登録。

紺性は濃く、地合いはやや艶があり板地。
立ち葉性で葉先は細くなり鈴虫剣や剣葉が多く出るので鋭く尖るイメージがあるが、本葉はやや丸みを持って尖る。
覆輪も深くかかり、高く出る熨斗葉が一層覆輪を引き立たせる。
類似品が他に見られない特徴ある多芸品である。


2月5日のblogで紹介した玉堂の青は一応3枚の葉繰りをしましたが、新根が降りずにいまいち作がかかりませんでした。
芋も長くなっているので来年は芋を切って作り直そうと思っています。

外気24−34℃
温室24−35℃
鉢内24−32℃
17時半頃灌水。

2010/08/17

8月17日 瀬戸の舞

『瀬戸の舞(せとのまい)』

昭和45年に愛媛県の菰田万吉氏が作出。
同県の大野賀三郎氏が『瀬戸の舞』と命名して昭和60年に登録したもの。

獅子なのだが、葉肉が厚い和羅紗なので羅紗系に登録されている羅紗獅子である。
本種の特徴は、葉幅が広くゆったりとした丸巻きになり、一度見れば覚えられる程分かりやすい姿をしていることである。
無芸の葉も見せるが芸としては高い甲竜を一本かける。
覆輪だけのものが多いのだが縞覆輪もあり、縞の鮮明なものはあまり見かけることが少なく貴重で、出来上がった時には見応えがある。

外気25−33℃
温室25−36℃
鉢内25−35℃
温室、鉢内の最高温度は9時から9時半頃。日中は最高時よりも2℃程低いです。
17時半頃灌水。

『寿紺の松』

仮称のついた千代田実生で、数年前にまとめて仕入れてきたものらしいです。
葉肉の厚い和羅紗、斑が暗くこれだけでは魅力が少ないですが、次の写真のような柄の変化がたまにあります。

こうなればきれいなので見れます。
このように柄の変化したものだけ残して後は淘汰しようかと考えていたところ、セルフで蒔いた生えに愛嬌の良い羅紗が生えていました。

28粒蒔いて、千代田斑のあるものは一本もありませんがチラッと白い柄の見えるものが4本。アルビノが8本。羅紗が3本。
艶消しで地の良さそうなものが多く生えました。
柄のあるものがどのような柄を見せてくれるのか…使い方次第では面白い実親に化けてくれるかもしれません。


今日、スイカを冷やす為に10年ぶりに井戸を使おうという話になって、中の水を全てポンプを使って外に出しました。出しましたというより4時間経過した今も出しています。
井戸水の温度は15〜16℃。
水道水は25〜26℃でした。

2010/08/15

8月15日 彩雲閣

『彩雲閣(さいうんかく)』
昭和30年頃、愛知県の杉山善三郎氏が作出。
平野氏、内野氏を経て河原井武氏に納まり同士が命名登録した。

中型の羅紗おもとで、葉先が鋭く尖り、程よく折り下げ、腰が太く均整のとれた葉姿が最大の魅力。
雅糸竜も繊細な絹雅糸で、地合いは浮き地で上品な雰囲気を感じさせる銘品である。
葉幅は細くなるのが一般的な作だが、がっちりと葉幅広くできるとさらに華やかな姿になる。

2010/08/11

8月11日 剣賜

『剣賜』

昭和30年に愛知県吉良町で作出。三光園主と宝生園主が小島栄太郎氏より求めて命名者である江田進氏に納めたもの。
登録は昭和56年。

宝生殿に似ているところがあり、「やや大型の宝生殿」といったところだろうか。
紺性は普通で地合いは艶消し。
熨斗葉、剣葉、鈴虫剣、雅糸竜を現し腰折れの良い落ち着いた葉姿をしている。
芸足はそんなに早い方ではないが、至芸に近づくと写真の木の止め葉のような盛り上がった雅糸竜の葉を出す。

外気23−32℃
温室24−33℃
鉢内24−31℃
15時半頃に灌水。この時期は9時過ぎには日覆いを引くようにしています。
今日は午前中に消毒をしました。

2010/08/10

8月10日 実親探し

実生の生えの具合を見て、羅紗や斑の良いものが生えた実親を探し出しています。
「205」×「大宝」

14粒蒔いて、鉢上げした3本のうち2本は羅紗の型をしていて、もう一本も地合いは羅紗地です。
一つ目の写真の左の鉢に植えた生えはすでに覆輪気があります。

「213」×self
交配記録を見ても名前が載っていないのでセルフで実を付けて蒔いたものです。
2つ目の写真の生えは完全な羅紗。愛嬌が良く艶消しで縞柄最上、地合いも粗れています。
葉肉は普通。一昨年までの葉は細葉に二面竜で大車系に見えるのですが、昨年からの葉は幅広の中立ち葉に甲竜が一本で大宝系に見えます。両方の性質を持ったF1かそれ以降だと思われます。
12粒蒔いて、羅紗が一本、羅紗地をしたものが3本です。
セルフでこれなら雄木次第でかなり優秀な成績を残すのではないかと期待しています。

ここからは通信簿。
今年交配した実親の中にこんなものがありました。

まず実付きが悪いです。
まあそれは置いといて、緑の実と黄色の実がついています。
熟すと実が赤くならずに黄色く色付く万年青がありますが、これは初めから黄色いので多分ただの「しいな」だと思います。

「水苔」

今年は水苔がすこぶる順調です。

「曙斑」

曙斑はしっかりと冴えたものと、全く冴えずに下葉が焼けてしまっただけのものと分かれました。
ビニールハウスにはあまり日を採っていないのに冴えているものもあり、直射日光よりも湿度と温度が曙斑が冴える為の大きな要因のような気がしてきました。

「盆景」

以前作った盆景はそれなりに見られる姿になりました。

外気24−35℃
温室23−34℃
鉢内23−32℃
15時半頃から灌水。
灌水中にすぐ近所に雷が落ちて停電…。
停電でポンプが止まってしまったため灌水が終わったのは17時過ぎでした。
近すぎて心臓が止まるかと思いました。

2010/08/06

8月4、5日 宮城、山形旅行

若手業者の人達と一緒に宮城〜山形の趣味者の方のお棚拝見に行ってきました。

初日 宮城県
泉様

昨年の協会の会報にも紹介されていました、泉様のお棚。
大変に真面目な方で、研究熱心な様子が伝わってきました。
内閣総理大臣賞を受賞された『天元』の短冊と写真を額に入れたもの。写真は御自身でお撮りになったとのことです。

久光様

久光様は実親と実生を中心に楽しまれている実生家です。
実親は個人的に欲しくなるようなものばかり。垂涎もの。
ただ交配をやられているだけではなく、葉幅の引いた『天光冠』などもあり、作も素晴らしかったです。
下の実生を売っていただきました。

一つ目は青いのですが地合いが良いです。心の目では縞が見えたので楽しみに作ろうと思います。
二つ目はお棚で一番最初に目に飛び込んできたもので一目惚れ。地合いが良く葉肉もあり、新葉には雅糸竜の片鱗も見えています。

2日目 山形県
石山様

山形支部の支部長をしておられるベテラン趣味者の石山様。
お棚、お庭、おもてなし全てに心が込められており、感動を覚えました。
鉢枠を使わずに管理されているにも関わらず、お棚はきれいで、万年青は整然と並べられ、羅紗7、薄葉2、大葉1といったバランスで趣味の万年青の王道といった印象を受けました。

梅津様
図性の抜群の『残雪』、薄葉、羅紗、万年青以外にも山野草も何でもあるといったご様子でした。
柄ものもきれいに冴えており、自分が梅津様の立場だったら、これだけ質も量も充実していたら趣味として相当に楽しめるだろうなと感じました。

高橋様
昨年の全国大会でも金屏風。今年の萬風展の記念帖をご覧になれば分かりますが、羅紗系の作は全国でもトップクラス。
羅紗だけではなく『玉獅子の虎』もすごい虎斑の出方をしていました。

船山様
萬風賞を受賞された『朝陽』を始めとして日月系統を中心とした薄葉系、羅紗系統も銘品や千代田系の実生などが揃っていました。写真は至芸の『玉楼』。
作もさすが!充実している様子が伺えました。

大浦様

実親を中心に羅紗、大葉の系統の良いものなども作っておられました。
ご本人作出の実生でかなり質の高いものも。

皆様本当に良くしていただき、大変お世話になりました。
心より御礼申し上げます。