2011/02/28

2月27日 瑛泉

『瑛泉(えいせん)』
昭和47年に内野茂氏が作出したもので、恐らく「鹿島」の生えだと思われる。
ただ、兄弟実生と言われる『瑛山』そして鹿島の一連の『大御所』『天元』『鹿島錦』『聖源』の葉姿を見ると『瑛泉』は少し趣きが異なるので、♂木に秘訣があるのだろうか。
命名は内野茂氏。昭和63年に内野舜二氏と共に登録。

当才の時は丸葉で吹き、若木のうちは二面系のような熨斗葉、二面竜を見せ、親木になると丸葉に力強い雅糸竜を現し、剣葉や鈴虫剣のような葉も見せる多芸品である。
作り手によって雅糸竜も色々と変化するので面白みがある。
紺性が強く、白い覆輪とのコントラストも美しい。
数はそれほど殖えておらず、ファンの多い貴品である。

外気△3−13℃
温室3−18℃
鉢内3−13℃
10時頃灌水。

以前、東海支部から出た写真集の品種紹介から個人的に気になった品種の交配名などをメモしたものです。『瑛泉』の交配を知りたかったのですが、載っていませんでした。
後に明らかになって訂正されたものや、同じ品種名でも現存のものとは異なるものもあるようですので、参考までに。

2011/02/24

2月24日 三光鳳

『三光鳳(さんこうほう)』
昭和42年に神奈川県の大木弘氏が作出。三光園主を通じて同県の増島松蔵氏に納まり増殖、命名、平成元年に香川県の千野照雄氏と共に登録。

折り下げの良い整然とした葉姿の胡麻斑羅紗の銘品である。
胡麻斑自体はそんなに明るくはなく、紺性も強い。しかし覆輪が回ったことによって胡麻斑特有の黄金覆輪になり、新葉は黄緑がかって胡麻斑覆輪の典型である。
芸足は遅いが、作り込むと葉全面に低い総雅糸竜を現し、覆われた覆輪の上に地が浮き出てきて味わい深い。
今後も胡麻斑羅紗の代表格として残っていくであろう。

外気△2−13℃
温室3−18℃
鉢内3−15℃
最近は日差しも強くなってきて天窓で換気を十分にしているので、3〜4日に一度くらいのペースで灌水しています。

2011/02/21

春のおもとサロン

両国のホテルベルグランデで行われた「おもとサロン」は一日という短い時間でしたが、大勢の方にお越しいただいて終始和やかな雰囲気で開催できました。
非常に感謝しております。ありがとうございました。

正直な方からは「欲しいものないねー」と冗談まじりに本当のことを言われてしまい、常に電波を張って仕入れに力を入れていなければお客様に満足を提供できないんだな、と勉強になりました。
他にも色々な方とおもと談義に花を咲かせられて、本当に有意義で充実した一日でした。

ブログをチェックしてくださっている方も予想以上に多かったので励みになりました。
気を引き締め直して続けていきたいと思います。

「紅流」
昨年の春に上越の高橋さんから爪の先くらいの一本根の小さな割子…というより欠き子を「悠介にやるすけ、作り直して実親にするなり好きにしていい」といただいたものを一作したものです。
特別性で紅の出方は抜群らしく、こんな小さくても紅が出ています。

日経新聞の「首都圏けんてい」というコーナーに万年青が取り上げられました。
細井さんが載っています。

肝心な日にちをメモし忘れるという凡ミス…
こういう普及活動をしていただけるということは、本当にありがたいことです。
私も負けずに普及活動を考えて行動していきたいと思います。

2011/02/17

2月17日 宝生

『宝生(ほうしょう)』
昭和55年に宝生園 水野輝男氏が「大車」×「大宝」によって作出、昭和59年に覆輪が完成。平成7年に同氏によって登録された。

小型種で中立ち葉性。
紺性は強く覆輪も深い。
雅糸竜、本剣、剣葉、熨斗葉、跳ね竜など多芸で中々姿が整いにくいが、写真の木のように勢い良くできるとコンパクトでボリュームもあり見応えがある。

外気△3−10℃
温室4−18℃
鉢内4−17℃
15日に灌水。

2月20日(日)10:00〜17:00
両国のホテルベルグランデにて、一日だけ「春のおもとサロン」を開催します。
お誘い合わせの上、大勢の方のご来場を心よりお待ちしております。

2011/02/14

2月14日 静山

『静山(せいざん)』
昭和35年頃、三河の杉山庄太郎氏が大宝系より作出。
梶川継一郎氏が買い出し、3本に殖えた頃、三光園氏と宝生園氏が共有で買い出し、江田進氏に納めるが枯死。
翌年、再び3本殖えたものを丹下和郎氏がまとめて買い取って繁殖し、昭和42年に『静山』と命名。
その後、覆輪が待望の品種として長い月日を経て、平成2年に関戸稔氏のところで覆輪が完成し、何人も相乗りになったという。平成7年に丹下氏、関戸氏によって登録された。

写真の木は両方とも関戸氏の作品で、第48、49回の全国大会に出展されたものである。
一つ目の写真の木を一作したものが二つ目の写真の木で、今もポケットブックの見本木として載せられている。
艶消しの絹地をしており、潰したような雅糸竜、熨斗葉、剣葉を現す。
腰折れの良い整った葉姿は、品格も十分過ぎる程に兼ね備えている。


静山は縞木が一番魅力がある、と良く言われます。艶消しの地合いが縞によって際立ち、力強い潰し雅糸、厚い葉肉も分かりやすいからでしょう。
覆輪が回って芸が甘くなったので、覆輪の木には魅力がない、とまで言う声すらあります。
先日紹介した『天元』もそうですが、熨斗で整ってしまいがちなところがそう言われる所以なのでしょう。
しかし、『静山』覆輪の写真に残っている木を見ていると、静山のポテンシャルはまだまだこんなものじゃないと思います。
熨斗が深くなってだらしなくなってしまうこともあるようですが、関戸さんの見本木のようにピタッとたたまれた熨斗と、葉幅をひかせた平葉に力強い雅糸竜が盛り上がった葉を見事に重ねた美術木が他品種を圧倒して金屏風の前に飾られる時がきっとくると思っています。
私もお金さえあれば3本くらい持って挑戦したいのですが…苦笑

外気△6−4℃
温室4−14℃
鉢内3−10℃
乾いたところだけ灌水。


2月20日(日)10:00〜17:00
両国のホテルベルグランデにて、一日だけ「春のおもとサロン」を開催します。
お誘い合わせの上、大勢の方のご来場を心よりお待ちしております。

2011/02/12

2月11日 玉松

『玉松(ぎょくしょう)』
昭和45年に千代田羅紗の大家、福島県いわき市の熊谷善幸氏が作出。
榊原八朗氏が命名し、初期に棚割りされた袖山功氏とともに昭和60年に登録。
初の完全な羅紗地と芸を備えた千代田羅紗として大きな話題になった。
「玉松」が作出される以前、千代田羅紗というものは実生家にとっては夢のまた夢で、「松の誉」を使うなど試行錯誤されてきたが、芸をしない和羅紗ものばかりで本格的な芸をした羅紗千代田は無かったという。
熊谷氏は始めから千代田羅紗を作出することを目的として松谷千代田に「晃明殿」や「四海波」などを交配し、その中から千代田縞甲が生えたという。その後、西山氏のF1に松谷千代田を交配するという方法をとるようになり、その時に「玉松」が誕生したらしい。その後、同じ交配を繰り返しても千代田羅紗は生えなかったというのだから、色々な運命が重なっての誕生だったのだろう。
現在でも「玉松」は千代田羅紗の登録品としては銘鑑の最上段に位置し、芸、斑、品格ともに文句なしで千代田羅紗のトップに君臨している。

今、千代田羅紗は人気がないようです。
「紺覆輪で表面が見えなくなるから」「供給されるような生えを買っても水準の高いものになる可能性が低い」「取引値が高すぎた反動」「千代田系は羅紗である必要がない」「業者が悪い」など様々な意見があるようですが、私はその頃のおもと界を全く知らないのでなんとも言えません。
なので、私個人としての千代田羅紗に対する見解を述べます。
 まず、千代田斑というのは他の「砂子斑」「矢筈虎」などに比べて遺伝する率が低く、斑の優劣が大きいので斑のきれいな物は斑物としての価値はかなり高いと思います。
 次に、千代田系というのは紺性が強く、照り地になりやすいというところが特徴だと言えます。私の感覚では地合い、特に羅紗系は艶消し地というのが一番高い評価だと考えるので、千代田羅紗は照り地を克服することが第一で、その上で芸が良くなくてはならないと思います。
地と芸の良い千代田羅紗は作り込む程に表面が紺覆輪に覆われ、地が浮き出て芸が鮮明になるので、私のような青を好んで作るような変わり者としては千代田斑がチラッと見える分、千代田羅紗はたまらなく良いのです。平葉ではなく熨斗が絡めば離れて観た時にしっかりと千代田斑を確認できますし。「寿松」の斑の飛んだものなんて見るとかなり水準が高いと思います。
 つまり、千代田羅紗の芸の良いものは斑を見ようとするのではなく、地と芸を見て、微かに見える千代田斑を楽しむのだとすれば羅紗として作る価値はかなり高いと思うのです。
 ただ、価格的な価値としては縞羅紗の覆輪ものと比べると若干低いのが妥当ではないかなと思います。もちろん玉松のように斑まで鮮明に確認できるものは別ですが。

2011/02/10

2月10日 吉祥

『吉祥(きっしょう)』
昭和43年頃に愛知県で生える。(名品展 第2集によると昭和41年 水野淳蔵氏とある)
福井県の宮川茂夫氏が命名し、昭和60年に登録。

葉姿は葉先が尖り、立ち葉性で葉長も程よく詰まり、非常に品が良い。葉重ねが良くなると一つ目の写真の木のように折り下げも見せる。
艶消しの柔らかな地合いは浮き地で葉肉もある。
覆輪が深く3才くらいから芸をし、至芸に近づくと全面が覆輪に覆われる。
熨斗葉が主体で雅糸竜に進展し、締めて作り込むと二つ目の写真の木のように雅糸竜が盛り上がって美しい。

外気△1−4℃
温室5−15℃
鉢内4−13℃
13時頃灌水。

赤ぼら土

前々から気になっていたのですが、鹿児島の趣味者の方から色々と情報をいただき、大葉系の用土として日向の赤ぼら土を使ってみることにしました。
土とはいうものの硬質赤玉と同じくらいの固さがあり、軽石等と混合しなくても単用で使えるところが手軽。
水洗いして一日置いた状態からも水分が安定して良さそうな感じなので、しばらく使って様子を見ようと思います。

2011/02/07

2月7日 円空

『円空(えんくう)』
昭和40年に東京都の仲田治平氏が実親「大判」より作出したもの。
その後、神奈川県の芦田潔氏が命名し、平成9年に同氏により登録された。

葉姿は舞子型でずんぐりとした広葉、葉先は丸止め。
深い熨斗葉に総雅糸竜を現し、熨斗雅糸という感じではないのだが、中程が抜ける。
一つ目の写真は至芸品で中々ここまでの雅糸竜は出ないが、これだけのポテンシャルを秘めた品種であることは間違いがない。
芸をしてくると葉繰りが悪くなったり根おろしも悪くなりがちなので、美術木に挑戦するとなると、ある程度力のある苗から始め、右の写真の木のように腰を太らせ勢いをつけて初木のまま作り上げることがポイントかもしれない。

外気△4−6℃
温室4−18℃
鉢内4−16℃(2月8日 天窓を開けるのが少し遅れました)
昨日灌水。乾かしすぎると大葉の下葉が垂れるので2〜3日に一度、日中に葉水を振るようにしたら戻って垂れなくなりました。表面だけ濡れる程度に振るのがポイント。

仕込んだ肥料は順調に発酵しています。今日は60℃まで温度が上がりました。
ある趣味者の方から「切り返しは頻繁にやったほうがダマになりにくくてムラが出にくいよ」とアドバイスをいただいたので、実験的にすでに何回か切り返しています。
第二弾も仕込んだので、発酵が終わるまでビニールハウス内は結構な香りになりそうです。

2011/02/05

2月5日 富貴錦

『富貴錦(ふきにしき)』
昭和15年頃に愛知県の太田角次郎氏が「大車」×「出世鏡」により作出した。
その後、業者を通じて命名登録者である榎本敏一氏に納まり、同氏が20年もの間、門外不出で培養に打ち込み、完全覆輪が完成した後の昭和33年に登録された。

本種はいわゆる玉輝型で、今も銘鑑の最上段に位置している。
葉姿は中立ち葉で、葉幅がひいて全体的にふっくらとするが葉先は尖る。
なんといっても最大の特徴は艶消し地の紺性の強さで、続 原色おもと図鑑によると「おもと中で最も紺性が深い、というほどよい紺地」とある程である。
覆輪も雪白でそのコントラストは見事である。
芸が進むと覆輪が糊をひいて、紺地も白粉を叩いたような浮き地になる。
葉芸としては甲竜、熨斗葉、雅糸竜で低く現れるので品も良い。

「大車」×「出世鏡」同じ交配に『月光冠』があるが、同じく玉輝型で「出世鏡」がそのヒントなのかもしれない。

2011/02/04

2月4日 天元

『天元(てんげん)』
昭和38年に茨城県の植村久兵衛氏が実親「鹿島二面」より生やす。
滋賀県の高田与三郎氏によって増殖され、三光園主 榊原八朗氏が命名。登録は昭和55年に同氏による。

芋吹きの当才のときはふっくらとした丸葉で吹くが、親になると葉先が鋭く尖り、シンメトリーで上品な葉姿になる。
艶消しの地合いで紺性は普通。
熨斗葉、雅糸竜を現し、その総雅糸竜は彫りが深く葉幅が広くなる程に芸の良さが際立つ。

こんな幅広の葉を見せる事も。

天元は熨斗葉で整うイメージがありますが、青なんかを作っていると結構幅広になって重厚感がある木です。

高速道の途中、妙高の新井PAに立ち寄ったら積雪が2m近くありました。
遠くに見えるのは園主。


外気△6−8℃
温室4−15℃
鉢内4−15℃
昨日灌水。
日差しが強くなってきたので日中は温度が上がります。天窓を開けて換気するため、表面の上苔は結構乾きますが、焦って過水気味にしないように注意が必要です。

2011/02/03

萬遊会 pt.3

「招待作品」東京全国大会で特別最優等の作品。
『金華』『新生殿』
金華は新登録品種。旭峰の総雅糸バージョンといった感じで格好良いです。
新生殿はすごい盛り雅糸を現して丸止めになっています。
『羅紗王』
こうやって出来ると見直したくなりますね。
『鉄舟デモ』
右の覆輪ものは萬風賞作品。
『瑛泉』『瑛山』
実兄弟といわれていますが確かに似ているところはあるような。
瑛泉のほうはうまく写っていませんが、本 手島鉢に植えられて美術木を引き立てていました。
『雲鶴』
これこそ雲鶴の本芸です。
『大和(やまと)』
至芸品。こういう品種をしっかりと作り込んでいる方がおられます。
『皇帝』『関帝』
『森羅』『錦花』

2011/02/02

萬遊会 pt.2

西日本新聞にも萬遊会の様子が取り上げられたようです。
「撮影風景」地元のカメラマンさん。
『盆景 福の光』センスが良いですね。
『麒麟錦』
最初の写真の木は『碩山』ばりの芸、姿を見せています。
『天童』
紺性強く素晴らしい地合いとこれだけの芸を見せる『天童』は大銘品です。
『宮錦』
展示品ではないですが、趣味者の方が持参したもの。
大谷さん曰く「宮錦はこういう芸を見せるよ」とのこと。私の中で評価が変わりました。
『武州』
縞覆輪、次賞作品の『武州』とは違った趣で一目できれいな分かりやすさがあります。
『寵児』
覆輪と縞覆輪。二つ目のほうは整いにくい本種をよくぞここまで!至芸で姿も整い、個人的には金屏風の前に並んでいても納得。
『豪雲』

安達銘柄の羅紗実生。力和型ですが芸の厳しさでは力和より上だと見ています。
葉繰りも良い気がする。