2月14日 静山

『静山(せいざん)』
昭和35年頃、三河の杉山庄太郎氏が大宝系より作出。
梶川継一郎氏が買い出し、3本に殖えた頃、三光園氏と宝生園氏が共有で買い出し、江田進氏に納めるが枯死。
翌年、再び3本殖えたものを丹下和郎氏がまとめて買い取って繁殖し、昭和42年に『静山』と命名。
その後、覆輪が待望の品種として長い月日を経て、平成2年に関戸稔氏のところで覆輪が完成し、何人も相乗りになったという。平成7年に丹下氏、関戸氏によって登録された。

写真の木は両方とも関戸氏の作品で、第48、49回の全国大会に出展されたものである。
一つ目の写真の木を一作したものが二つ目の写真の木で、今もポケットブックの見本木として載せられている。
艶消しの絹地をしており、潰したような雅糸竜、熨斗葉、剣葉を現す。
腰折れの良い整った葉姿は、品格も十分過ぎる程に兼ね備えている。


静山は縞木が一番魅力がある、と良く言われます。艶消しの地合いが縞によって際立ち、力強い潰し雅糸、厚い葉肉も分かりやすいからでしょう。
覆輪が回って芸が甘くなったので、覆輪の木には魅力がない、とまで言う声すらあります。
先日紹介した『天元』もそうですが、熨斗で整ってしまいがちなところがそう言われる所以なのでしょう。
しかし、『静山』覆輪の写真に残っている木を見ていると、静山のポテンシャルはまだまだこんなものじゃないと思います。
熨斗が深くなってだらしなくなってしまうこともあるようですが、関戸さんの見本木のようにピタッとたたまれた熨斗と、葉幅をひかせた平葉に力強い雅糸竜が盛り上がった葉を見事に重ねた美術木が他品種を圧倒して金屏風の前に飾られる時がきっとくると思っています。
私もお金さえあれば3本くらい持って挑戦したいのですが…苦笑

外気△6−4℃
温室4−14℃
鉢内3−10℃
乾いたところだけ灌水。


2月20日(日)10:00〜17:00
両国のホテルベルグランデにて、一日だけ「春のおもとサロン」を開催します。
お誘い合わせの上、大勢の方のご来場を心よりお待ちしております。

コメント

  1. 池田 早正2011年2月15日 20:38

    悠介君に質問です。
     
    「羅紗おもと」の語源は?
    羅紗オモトマニアを目指して日々精進中です。
    当初から、羅紗オモトの語意について奇異に感じていたのだが、思い切ってお訊ねする、
    少学校の頃、寒くなると羅紗のオーバーきて学校に通った、当時は外套と言っていました、そんな思いでから どうも「羅紗おもと」の言葉が理解できず疑問に思ってた、先輩諸氏にお訊ねるが明快で納得できる答えはない。
    昨日まで寒かったね、っそちらはもっと寒かったでしょう。

     どうぞ明快なお答えをお願いします。

                    池田 早正

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  2. 池田さん

    私は、羅紗おもとは他系統に比べてウールのようにモクモクと厚みがあって、地肌も他系統のテカりがあってツルッとした感じと比べて羅紗のように柔らかい質感だから、だと認識しております。

    昨晩から今朝にかけて30cmくらい雪が積もりました。
    北九州も風が強くて体感温度は長野に負けないくらい寒かったです。
    風邪をひかないように気をつけてくださいね。

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  3. 千代田の松2011年2月16日 17:12

    おはようございます。千代田の松です。
    厚手で毛羽立った毛織物です。その状態、イメージが羅紗おもと、特に地合いが艶消し地にピッタリの表現です。上流階級が好んで贅沢品です。明治の商人や粋人のマントや合羽を着けた写真があります。私はなんの疑問もありませんでした。外来語であることも知っていました。古くはポルトガルの宣教師、傾倒した織田信長が着ています。羅紗は当て字でしょう。おもと界に関わる人々の俗人とその感性にピッタリです。世界と日本の歴史まで学べますね…

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